背中が痛くならないソファーベッドの座面構造

背中が痛くならないソファーベッドの座面素材

前回の記事「寝心地が良いソファーベッドのサイズとは?」では、寝心地を改善するために、自分の体格に合わせて寝返りがうちやすいサイズのソファーベッドを選ぶことが大事なことを解説しました。

しかし、自分に合ったサイズを選ぶことができても、座面構造の選び方を間違えると、ソファーベッドで寝ていて「背中が痛い」と感じる可能性があります。

これはソファーベッドで毎日寝る人にとっては大きな問題です。

ソファーベッドで寝ていて背中が痛くならないためには、ウレタンの密度と厚みが重要です。

さらに「ベッドに近い寝心地を得たい」という欲張りな人は、ソファーベッドの内部構造もなるべくベッドに近いものを選ぶ必要があります。

この記事では、背中が痛くならないために「どういう基準でウレタンを選べば良いのか」と、より良い寝心地を得るための「ベッドに近い内部構造の見極め方」について解説します。

ソファーベッドで「背中が痛くなる」原因

ソファーベッドで背中が痛くなる原因

世の中のほとんどのソファーベッドは、ソファーとほぼ同じ内部構造で作られています。

これではソファーに寝ているのと同じことなので、寝心地が悪いと感じるのは当然です。

しかし、一部の良質なソファーベッドは、きちんと寝ることを考えられた内部構造になっています。

「座る」ためだけに作られたソファーと同じ座面の構造だと、「座る+寝る」で消耗が激しいソファーベッドではウレタンがへたりやすくなってしまいます。

ウレタンがへたってくると、ウレタンを支えるスプリング(金具)が背中に当たりやすくなり、「背中が痛い」につながってしまいます。

あまりにも安いソファーベッドだと、そもそも座面を支えるウレタンの量が少なすぎることもあります。

そのため、座面の下がどんな内部構造になっているかは毎日の寝心地を考える上で重要です。

まずは簡単に座面の構造を頭に入れよう

ソファーベッドはソファーにもなるので、基本的な構造はソファーと同じです。

まずは簡単にソファーの座面の構造を頭に入れましょう。

ソファーベッドの座面構造
ソファーの座面構造

商品によって構造は違いますが、ざっくりと言うと、「ウレタンをスプリング(S字バネやコイル等)が支えている」のが共通した構造です。

全体をファブリック(布)や合皮(合成皮革)で覆えば、ソファーの完成です。

人間の体に例えると、一番外側のファブリックや合皮が「皮膚」で、ウレタンが「筋肉や脂肪」、スプリングが「骨」に該当します。

この中でも筋肉や脂肪にあたる「ウレタンの密度と厚み」と、骨にあたる「スプリングの種類」が座り心地や寝心地を決めていると言えます。

簡単にご紹介します。

参考:座面構造で使われている代表的な素材
素材 名前と特徴
ウェービングベルト ウェービングベルト

ウレタンやスプリングを支える伸縮性のある素材です。低コストなのがメリットですが、金属製のスプリングよりも反発性に劣るため、ウェービングベルトだけでウレタンを支える構造は避けた方が無難です。

S字バネ S字バネ

ソファーに一般的に使われるS字型の金属バネです。ウレタンの下でウレタンを支える縁の下の力持ち的な素材です。長期間の使用によるへたりを軽減し、弾力のある座り心地を実現します。座面を薄くしやすい構造なので、デザイン性に優れたソファーを作りやすいメリットがあります。

コイルスプリング コイルスプリング

ベッドのマットレスとして一般的に使われる素材です。渦上の金属バネを連結してウレタンを力強く支えます。S字バネよりも弾力性と耐久性に優れています。ポケットコイルのように個々に独立したコイルにはなっていないため、点ではなく面で体を支える特徴があります。

ポケットコイル ポケットコイル

ホテルのベッドマットレスにも使用される高級素材です。ひとつひとつ独立したコイルが入っていることで、面ではなく点で体を支える特徴があります。体の荷重に合わせて沈むので、体の負担を軽減し、疲れにくい寝心地を得られます。

チップウレタン ウレタンチップ

細かいウレタンを固めて圧縮した素材です。硬くて劣化しにくいのが特徴です。ウレタンチップのみでは硬くて座り心地が悪いですが、柔らかいウレタンフォームの下に敷くことで、適度な座り心地や寝心地を実現します。体に例えると筋肉の役割を果たします。

ウレタン ウレタンフォーム

ソファーでは定番中の定番の素材です。無数の泡から出来ているため、柔らかくてふかふかとした感触を実現します。寝心地をもっとも左右する素材ですが、密度の高いものは価格が高くなります。体に例えると脂肪の役割を果たします。

どんなウレタンを選べば良いのか?

ここまで座面の内部構造がどうなっているのかを見てきましたが、では具体的にどんなウレタンを選べば良いのでしょうか?

結論から言うと、寝ることを考える場合は「硬めのウレタン」が使われているソファーベッドがおすすめです。

ウレタン(ウレタンフォーム)は、無数の泡(セル)からできているため、密度によって質が異なります。

密度が高いウレタンほど、硬めでへたりにくく、値段も高価になります。

反対に密度が低いウレタンは柔らかくてへたりやすく、値段も安くなります。

へたりにくいウレタン密度の目安

ウレタンの密度はkg/m3(立方メートル当たりキログラム)という単位で表されます。

安いウレタンを使っているソファーだと、18kg/m3程度のウレタンを使っていることが多いですが、ウレタンフォーム工業会では密度が23~27kg/m3程度のウレタンを「優良ウレタンフォーム」として推奨しています。

イタリアの一流ブランドのソファーは密度が30kg/m3程度のウレタンが主流ということを考えると、目安としては、25kg/m3以上が硬めでへたりにくい高密度なウレタンの目安と言えるでしょう。

参考:へたりにくいウレタン密度の目安
ウレタン 密度の目安
安価なウレタン 18kg/m3程度
ウレタンフォーム工業会の推奨 25kg/m3前後
イタリア高級ブランドソファー 30kg/m3程度

密度の低いウレタンは家具店などでソファーに座ってみるとふかふかして一見座り心地が良いのですが、長時間座ったり、ソファーベッドのようにベッドとして寝ることを考えると、腰を痛める原因になりかねません。

密度が高いウレタンは、体の重さをしっかりと支えてくれるため、体に負担がかかりづらい特徴があります。

へたりづらく反発力があるため、ウレタンの下のスプリング(構造材)が背中にあたってしまうということもありません。

硬めや密度が高いウレタンが良いと言っても、実際に実物を見ることができない通販サイトでは見分けが難しいです。(実際に見たとしてもよっぽど詳しくないと見分けがつきません)

商品説明ページでウレタンの密度が書いてあれば良いですが、書いてない場合の見分けるポイントとしては、座面の素材に「硬質ウレタン」「高反発ウレタン」と書いてあるものを選ぶようにしましょう。

ウレタンの密度は見た目ではわかりづらい
ウレタンの質は見た目ではわかりづらい

硬質ウレタンでも高反発ウレタンでもない場合

硬質ウレタンでも高反発ウレタンでもない場合でも大丈夫なケースが2つあります。

1つは、ウレタンフォームの下にウレタンチップが敷かれている場合です。

ウレタンチップというのは、細かいウレタンを固めて圧縮したもので、硬くてへたりにくい特徴があります。

ウレタンチップだけでは硬くて座り心地は良くないのですが、硬いウレタンチップが柔らかいウレタンフォームを支える構造になっていて、ウレタンフォームの柔らかい座り心地とウレタンチップの反発力が組み合わさって、しっかりと体重を支えてくれます。

この「ウレタンフォームとウレタンチップ」の組み合わせは、しっかりと座り心地や寝心地を考えられているソファーベッドに多いのでおすすめです。

硬質ウレタンや高反発ウレタンではなくても大丈夫なもう1つのケースは、ウレタンの厚みが十分にある場合です。

具体的にはウレタンの厚みが10cm以上ある場合は、背中の底付き感は少ないと判断できます。

ウレタンの厚みは厚いほど寝心地は良くなりますが、当然値段もそれにつれて上がっていきます。

この3つのどれかに当てはまるウレタンを選ぼう

ここまでの話をまとめると、背中が痛くならないソファーベッドの座面構造を選ぶ際には、下記の3つのパターンのどれかに当てはまるソファーベッドを選ぶようにしてください。

3つとも満たすことはまずないので、価格と品質とのバランスを考えると、この条件にどれか1つでも当てはまっていればOKです。

  • ・硬質ウレタンか高反発ウレタン(密度がわかれば25kg/m3以上)が使われている
  • ・ウレタンフォームの下にウレタンチップが敷かれている
  • ・ウレタンフォームの厚みが10cm以上ある

こちらの「カバーが洗えるセミダブルソファーベッド」は数少ないウレタンチップ仕様のソファーベッドです。

カバーが洗えるセミダブルソファーベッド

よりベッドに近い寝心地を求める場合

上記で紹介した3つの条件に当てはまるウレタンを選べば、背中に金具があたって痛い、というようなことは起こらないはずです。

よりベッドに近い寝心地を得たい人は、ベッドでも使われるスプリングである「コイルスプリング」か「ポケットコイル」が座面構造で使われているソファーベッドを選びましょう。

ただし、S字バネと違ってコイルスプリングやポケットコイルを使うとソファーの座面が厚くなってしまうので、販売されている商品数は多くありません。

より良い寝心地を求めるのか、ソファーにした時のデザインも重視するのかによって、お好みで判断してみてください。

真ん中のくぼみが気になる場合の対策

ソファーベッドはソファーにもならないといけないという構造上、ベッド時に程度の差こそあれ、凹凸(おうとつ、くぼみ)が生まれてしまいます。

このくぼみ部分はウレタンがないため、背中を支えることができません。結果として背中に負担がかかってしまう場合があります。

座面のくぼみが原因で背中が痛くなる場合の対策としては、ベッドにした時のくぼみ部分が真ん中ではなくなるべく端に寄っているソファーベッドを選ぶと良いでしょう。

こちらのコイルスプリング仕様リクライニングソファーベッドは中心から少しずれた箇所にリクライニングギアがあるので、真ん中に寝てもくぼみが気になりません。

くぼみが端に寄っていると背中の負担が少ない
くぼみが端に寄っていると背中の負担が少ない

どうしても真ん中にくぼみがあるソファーベッドを気に入った場合は、ソファーベッドの上に反発力の高いマットレスを敷けば、くぼみがフラットになって寝心地を大幅に改善することができます。

直接ソファーベッドの上に寝るのではないため、衛生的ですし、ウレタンへの負荷もやわらぎ、ソファーベッドが長持ちするようになります。

まとめ

快適な寝心地を
快適な寝心地を

「ソファーベッドで背中が痛くなる」という問題の対策では、しっかりとした硬めのウレタンを選ぶことが大事です。通常のウレタンでも厚みがしっかりと確保されていれば大丈夫です。

真ん中にある背中のくぼみが気になる場合は、くぼみ部分が端にずれているソファーベッドを選びましょう。

ソファーベッドはどうしても座面が凸凹になりがちなので、より良い寝心地のためには、背中部分がなるべくフラットであることが大事です。

これまでの2つの記事では寝心地の良いソファーベッドを手に入れるための「サイズ」と「座面構造」の選び方について解説してきました。

ここまでの知識だけでもソファーベッドの寝心地を改善するには十分ですが、毎日ソファーベッドで寝る場合は、汚れや通気性についても気になる所です。

次の記事では、ソファーベッドの寝心地にも直結する衛生面での対策についてご紹介します。